IT導入の最初の作業は、製品探しではない
IT導入の最初の作業は、製品を探すことではありません。
改善したいこと、現在の業務、利用する人、管理する人、導入後の運用を確認することから始めます。
現在の仕組みを使い直す方法や、役割・手順の見直しだけで改善できる方法も比較したうえで、ITが必要な場合に選定へ進みます。
1.実現したいことを整理する
最初に、「どの製品を入れるか」ではなく、「何を実現したいか」を確認します。
例えば、「紙をなくしたい」という要望だけでは、目的が十分に分かりません。
- 情報を探す時間を減らしたい
- 外出先から確認できるようにしたい
- 転記や二重入力を減らしたい
- 担当者が不在でも業務を進めたい
- 顧客への回答を早くしたい
このように、目指す状態を具体的にすると、必要な方法を比較しやすくなります。
2.現在の業務と情報の流れを確認する
次に、現在の業務がどのように進んでいるかを確認します。
- 業務はどこから始まり、どこで終わるか
- 誰が入力し、誰が確認するか
- 情報はどこで作成され、どこへ渡るか
- 紙、Excel、メール、チャット、既存システムをどう使っているか
- どこで手戻りや待ち時間が発生しているか
- 特定の人だけが把握している内容はないか
現在の流れを確認せずに製品を選ぶと、必要のない機能へ費用をかけたり、導入後に業務と合わないことが分かったりします。
3.ITで解決することと、業務で見直すことを分ける
問題のすべてをITで解決できるわけではありません。
役割が決まっていない、承認が多すぎる、同じ情報を複数の場所で管理しているといった問題は、業務や運用を見直す必要があります。
次の3つに分けて考えます。
- 業務や役割を変えることで改善できること
- 現在の仕組みを使い直すことで改善できること
- 新しいITが必要なこと
この整理を行うことで、導入範囲を必要な部分に絞れます。
4.必要な条件を整理する
候補を探す前に、必要な条件を整理します。
業務面では、誰が、いつ、どのような場面で使い、どの情報を扱うのかを確認します。
運用面では、アカウントを誰が管理するのか、問い合わせ先をどうするのか、退職者や異動者へどう対応するのかを決めます。
契約面では、初期費用、月額費用、契約期間、解約条件、データの取り出し方法、サポート範囲を確認します。
「必要な機能」と「あれば便利な機能」を分けることも重要です。
5.複数の候補を比較する
候補は、機能だけでなく、次の点も含めて比較します。
- 現場で使いやすいか
- 管理者が設定・管理できるか
- 導入後のサポートがあるか
- 将来、利用人数や機能を変更しやすいか
- データを他のサービスへ移せるか
- 契約を終了するときに困らないか
- 現在利用している仕組みと連携できるか
デモ画面を見るだけで判断せず、実際の業務を想定した確認を行います。
6.小さく試し、移行方法を確認する
可能であれば、一部の業務や担当者で試してから本格導入します。
実際の業務に合うか、入力項目が多すぎないか、必要な帳票を出力できるか、操作で迷う箇所がないかを確認します。
新旧の仕組みを長期間並行して使うと、二重入力が増えることがあります。移行期間と切り替え方法も、あらかじめ決めておきます。
7.利用開始後に見直す
導入は、利用を始めた時点で終わりではありません。
- 実際に使われているか
- 業務時間や手戻りが減ったか
- 情報を探しやすくなったか
- 管理担当者に負担が集中していないか
- 想定外の運用が発生していないか
- 利用していない機能や契約はないか
導入前に、何をもって効果があったと判断するかを決めておくと、見直しがしやすくなります。
よくある失敗
次のような失敗が起こりやすくなります。
- 製品の機能から考え始める
- 管理する人を決めない
- データ移行を軽く考える
- 説明会だけで定着すると考える
- 導入後の確認を行わない
IT導入は、製品を購入する作業ではなく、目的、業務、役割、運用、契約を整える取り組みです。
自社の場合を整理したい方へ
ITやDXの取り組み方は、会社の目的や現在の業務によって異なります。何から考えるべきか整理したい場合は、IT方向性ミーティングで現在の状況と次に考える順番を確認します。